息子が冬休みの宿題でこしらえたクリームシチュー
豆イカと大根の煮付け
レンコンのキンピラ
チンゲン菜の塩炒め
フルーツゼリー
ご飯
ビール
我が家のシチュー。
食べやすく切った野菜をバターで炒める。
小麦粉を入れ、更に炒める。
牛乳でのばす。
コンソメキューブを入れる。
茹でて手で裂いた鶏ムネ肉とコーンを入れる。
盛り付け後、茹でたブロッコリーを飾る。
この過程をたっぷんが一人でこなした。
もちろん、あたしが横につきっきりだ。
宿題のレポートに、用紙半分ほどもあるシチューの
写真を添付してやった。
感想の欄に”おいしいって言われた うれしかった”と
書き付けてあった。
あたしも嬉しくなった。
年賀状を見たあたしの母から電話があった。
母と話すのは盆以来だ。
母と話すのは苦手だ。
母はあたしを不快にさせる天才だからだ。
屈託無い口調であたしのコンプレックスにズケズケと踏み入ってくる。
最初は何を言われてもグッと堪える。
１０分も話すとあたしの神経は限界になる。
母さん、そんなこと言ったって、孫達にクリスマスやお正月の小遣い一つ
送ってきやしないじゃないのっ！
母さんはいつだって口ばかりで何一つしてくれないでしょっ！
あたしが困ってる時に何してくれた？
離婚した時だって、姉ちゃんが大学に入った時だって何もしてくれなかったクセにさっ！
怒りで声が潤む。
肉付きの良い短軀に長く赤い髪。
身体の線を強調した洋服。
霊媒師を彷彿させるよな派手で濃い化粧。
家事嫌いで遊び好き。
母があたしに言う。
みんな言ってるよ、あんたは母さんにソックリだって。
違う、違う。
あたしは母さんと違う。
子どもを愛情込めて育ててるし、毎日ご飯だって作ってる。
亭主も姑も大事にしているよ。
汗まみれになって夢から醒める。
あたしはいつになったら母の呪縛から放たれるのだろう…
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