生寿司 ビール
なおにゃと母が寿司を握った。 回転してるヤツよか、すごくすごく美味かった。
なのになのに。 あややの一言で食卓が凍る。 ”食いたくなかったら食うなっ” なおにゃが一喝した。
先週末もそうだった。 折角なおにゃがピザをこしらえてくれたのに、 トッピングのトマトが気に入らないと言い出した。
普段、飯炊きはあたしの仕事だが週末に限って頼むと なおにゃは、快く腕を揮ってくれる。 そして和気藹々と食事を楽しんでいるのに、あややは平気で水をさす。 夕方まで惰眠を貪り、食事が出来たと呼ばれた時にだけ ノロノロと自室から出てきてポソポソと口にし、大人達が手間隙かけて こしらえた料理を何でもないようにくさす。 とほほ…なおにゃの好意が…お母さんの好意が…台無しだ。
無神経に放つあややの邪気や毒気は、いつだって強烈だ。 お陰で夫婦は緊張して険悪だ。くそっ。
あんもうっ!今夜は生寿司にしようなんて言わなきゃ良かったよ。
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