アスパラのフライ
切干大根の煮物
糠サンマ
枝豆
キンピラゴボウ
ご飯
発泡酒
ロールケーキ
チョコプリン（たっぷんと合作）
比較的早い時間に全員が揃い、平日にしては珍しく皆で晩飯を食べた。
来月に控えた、あやや成人式写真撮影会の案内が届いていたので
なおにゃが話題にしたところ、あややが”ママの分の写真も作って”
と言い出した。
もちろん、あたし達にそんなつもりはない。
この晩、あややとなおにゃとあたしとで話し合いがなされた。
あややは泣きながら、時折あたし達を睨みつけ、あたし達に断りもなく
勝手な約束をしてきて、お金まで預かってきていることに関して
謝るどころか、しおらしい言葉ひとつ言わなかった。
ただただ、自分の思い通りにならない腹立たしさと、深夜に親と面倒な話しを
しなくてはいけない苛立ちで不貞腐れていた。
あたし達が写真をやりたくない理由は、あややのママを嫌い抜いているからだ。
嫌いな人に親切にできるほど、あたし達は人間が出来ていない。
あややのママがどうしても娘の晴れ姿の写真が欲しいのであれば、
自分であややを連れ立ってスタジオに出向けば良いだけの話なのである。
なぜ娘を介して別れた亭主に頼まなければならないのだ？
なのに、あややにはそれが理解できない。
なおにゃが諭す。
あややがママを話題に出したら、パパもオバさん（あたし）もお祖母ちゃんも
良い顔しないだろ？みんなママのことに触れてもらいたくないんだよ。
パパは今の家庭を守ることが大事なんだ。
ママのことは、あややの産みの親というだけで他人だと割り切ってるんだよ。
あややが泣きながら答える。
なんでそんなにママを嫌うのさっ！
割り切ってるんなら、ママの話くらいいいでしょ。
なおにゃには、あややのママを嫌う理由がゴマンとあった。
だからこそ離婚したのだ。
だが、ここであたしが失望したのは、あたし達をママの話で不快にさせても
構わないというあややの開き直った姿勢だ。
勢いもあったろうが、あややのあたし達に対する気持ちがよく分かった。
結局、写真はあげないことになったが、あややからはママに話せないと言うので
なおにゃから丁重にお断り申し上げることになった。
先日なおにゃに届いたあややのママからのメールに、こんなことが書いてあった。
『「元夫婦」の関係を終わりにしたいです。
あとは、「子供たちの両親」という関係だけです。
あや○の母親であることは、生涯、変わらないので、そこに終わりはありません。』
娘への思いが強く感じられる文章だ。
あややも、この夜、自分の立場を悪くしてまで母親を庇っていた。
あたしは、あややの母親になることを諦めようかと思う。
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